Bluetoothヘッドセットでテレワーク。音質が悪い?

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、多くの職場でテレワーク・在宅勤務が求められています。これを機に、TeamsやWebex、ZoomといったWeb会議を活用されている方も多いと思います。そうしたWeb会議を快適に利用するには、優れたヘッドセットが欠かせません。

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Bluetoothヘッドセットを入手

私自身も在宅勤務が増えましたし、もともと遠隔の相手とWeb会議を行う機会も多かったので、ヘッドセットを購入することにしました。

ヘッドセットには昔ながらの3.5mmミニプラグやUSBなど色々なタイプがあります。個人的にはカバンに入れていつでも持ち運べるようにしたいので、無線でコンパクトなものを探していたところ、Plantronics社のVoyager 5200という製品を見つけました。気に入った理由としては:
  • コンパクトで持ち運びやすい (掌に収まるくらい)
  • 会社にいる時は周りの音も聞こえる方が良いので片耳は好都合
  • ユーザーレビューが高評価 (高音質、高品質など)
といったところです。さて実際に購入しようとすると、微妙に型式が違う2種類の商品があることが分かりました。

Plantronics Voyager 5200
https://www.plantronics.com/jp/ja/product/voyager-5200


Plantronics Voyager 5200 UC
https://www.plantronics.com/jp/ja/product/voyager-5200-uc

主な違いは、末尾にUCが付かない方はヘッドセット単体で、UCが付く方はUSB Bluetoothアダプタと充電ケースが付属します。2020年5月時点でネットでの実売価格は、UC無しの方が14,000円前後、UC有りの方が29,000円前後です。

私が普段使用しているノートPCはBluetooth内蔵です。充電も普通のマイクロUSBケーブルがあれば事足ります。となれば「一万五千円もったいない。安い方にしよう」と思うのは当然です。しかし、これが間違いでした。

結論から言うと、この手のBluetoothヘッドセットをPCにつないでWeb会議をするつもりなら、USBアダプタ付きの製品を選ぶことを強くお勧めします。

会議が始まると音が悪くなる?

前述のように15,000円を惜しんで、とりあえず単体のVoyager 5200を購入しました。早速Windows PCにペアリングして、YouTubeで動画を見たりSpotifyで音楽を聴いてみたりしたところ、音質はとてもクリアで満足できるものでした。

ところが、その高音質を期待しながらWeb会議に参加したところ、突如音質が悪くなってしまったのです。例えるなら、昔のアナログ電話、もしくはAMラジオなみの音質です。誰が話しているのか判別が難しい程です。

なぜでしょうか。

「ヘッドホン」と「ヘッドセット」

実はBluetooth規格には、音を聞くだけの一方向のプロファイルと、聞きながら話す双方向のプロファイルの2種類が存在します。ためしにWindowsでサウンド出力デバイスを確認すると、「ヘッドホン」と「ヘッドセット」という2種類の選択肢が表示されます。



 「ヘッドホン」が、聞くだけのプロファイルです。YouTubeで動画を見たり、Spotifyで音楽を聴いたりする時に使うものです。Windowsのサウンド コントロールパネルで確認したところ、サンプリングレートは44.1 kHzでした。画面にも表示されている通りCDのサンプリングレートは44.1 kHzですから、大まかに言ってCD並みの音質です。


一方「ヘッドセット」は、聞きながら話すためのプロファイルです。まさにWeb会議のような用途です。こちらもコントロールパネルで確認すると、サンプリングレートは8 kHzでした。固定電話や3G以前の携帯電話並みの音質です。


これが、会議になると音質が悪くなる理由です。8 kHzというのは随分低いように感じますが、これは元々Bluetooth規格の初期に、車を運転中にハンズフリーで電話する用途を想定していたためです。電話自体が8 kHzなのですから、ヘッドセットもその程度で良いというのは合理的な仕様です。

しかし1対1の電話ならともかく、多人数が入れ代わり立ち代わり発言するWeb会議では、音質が悪いと誰が何を話しているのか分からなくなってしまいます。TeamsやGoToMeetingといったWeb会議サービスは、電話よりも高音質な音声を配信しているのに、Bluetoothの制約で音質が下がってしまうのは勿体ない話です。

8 kHzとはどれくらい低音質なのか

ところで、音質の違いを文字のブログで伝えることは困難です。「電話のような 」とか「8 kHz」と言われても中々ピンと来ないのではないでしょうか。そこで参考までに、元々44.1 kHzのmp3ファイルを8 kHzに変換して比較してみました。音声ファイルはパブリックドメインの朗読音声を公開しているLibriVoxのものを使用しました。

<データ引用元>
The Adventures of Sherlock Holmes (version 5)
by Sir Arthur Conan Doyle
The Red Headed League
Read by StudioMike

44.1 kHz


8 kHz


違いが分かりましたか?

USBアダプタの存在意義

上記の制限は、Windows上で標準のBluetoothを使用する限り、どんなに高級なヘッドセットでも付いて回る問題です。そこで、専用品のUSB Bluetoothアダプタが必要になるのです。

例えば前述のVoyager 5200 UCにはUSB Bluetoothアダプタが付属しますが、これは普通のBluetoothとしては機能しません。Voyager 5200を高音質で接続するためだけに存在する専用アダプタです。幸いこのアダプタは単品でも販売されているので、実際に購入して試してみました。

Plantronics BT600
https://www.plantronics.com/jp/ja/product/bt600

このアダプタをPCに接続すると、標準のBluetoothヘッドセットではない、別の種類のヘッドセットとして認識されます。標準Bluetoothのように2種類のデバイスは表示されず、ただ1つ「ヘッドセット イヤフォン」というデバイスが表示されます。


サンプリングレートを調べてみると48 kHzでした。DVD並みの音質です。


これで晴れて高音質でWeb会議に参加できるようになりました。実際にWeb会議をしたところ、圧倒的に音質が向上したことを体感できました。特に人数が多い会議では、「誰が」話しているのかをクリアに聞き取れるというのは重要です。

注意点として、繰り返しますがこれは特定のヘッドセットに対する「専用品」です。ヘッドセットの機種が異なれば、対応するUSBアダプタも異なります。また、そもそも専用USBアダプタが存在しない機種もあると思います。購入の前にお手持ちのヘッドセットをよく確認してください。勿論、ヘッドセット本体とUSBアダプタがセットになっている製品を購入するのが最も安全です。

本投稿ではPlantronics社の製品について取り上げましたが、他の機種でもある程度高価格なヘッドセットであれば同様に専用のUSBアダプタがあるかもしれません。Web会議で音質に悩んでいる方は参考にしてみてください。

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